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全国のマンション・団地に広がる舗装の持ち上げ現象! 『樹木の高齢化』がもたらす根上がり対策最前線

  • 2023.04.21
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歩行者への通行障害を引き起こす歩道のぼこぼこ=「根上り現象」
行政も対策に乗り出しています

中庭の広場や、エントランス前のシンボルツリー、外周に植えられた街路樹など、マンションや団地にはたくさんの樹木によって豊かな空間づくりが施されています。その一方で、経年により敷石やブロックの歩道空間に段差が生じる「樹木の根上がり現象」が多発しており、歩行者のつまずきや転倒の原因になっています。このような樹木の高齢化による都市特有の社会課題に対応するため、東京都では2014年に発表した「大径木再生指針」の中で先んじて対策技術が報告されたほか、横浜市でも街路樹を中心に対策を仕様化するなど、行政の動きも活発化しています。

単独で植えられている高木には要注意!?根上りのメカニズムとは

通常、樹木は根本から四方に根を広げ、生育に必要な水分・栄養を土から吸収しています。しかし、舗装で覆われている場所に立つ樹木は根を伸ばしにくく窮屈な状況にあります。こうした状況の中でも舗装材同士の高さを調整する砂の層(クッション砂)には根が張り出しやすいため樹木は根を広げ、これらの根がやがて太くなることで舗装や縁石を持ち上げてしまうのが「根上り現象」です。たった数mmの根でも舗装がガタガタになってしまうこともあります。単独で植えている高木の場合は、周辺に広い植栽地や水が溜まる排水桝があると根が大きくなる傾向があり、クスノキやケヤキでは直径20cmもの大きさになることがあります。

根上がり現象を改善するための3つの選択肢! 切る対策だけでない「根系誘導」の新技術も登場

これまでの根上り対策は、対象箇所を切除するという一時的処置が一般的でした。しかし、根を切ってしまうため樹木が十分な水分を吸収できなくなり成長の妨げになるという問題がありました。「舗装状態がきれいに保てて、かつ根も伸長させることはできないか?」そんな発想から根系誘導耐圧基盤(パワーミックス)工法という新技術が開発され、最近はマンションエントランスのシンボルツリーに利用するケースも増えています。また、空間にゆとりのある場所では、舗装材を撤去して植栽を施す「切らない根上がり対策」を実施することも。樹木がある場所や周囲の環境、交通状況等を考慮し、その場にあった選択を行うことができるようになっています。

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